保安林制度について

公開日 2016年03月12日

保安林制度の概要について

 

○保安林とは

保安林とは、水源の涵養、土砂の崩壊などによる災害の防備、生活環境の保全や形成など、特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。なお、保安林では、目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質変更などが規制されます。火入れとは、森林又は森林の周囲1キロメートルの範囲内にある土地において、その土地にある立木竹、雑草、堆積物等を面的に焼却する行為をいいます。

 

○保安林の指定及び解除

(1)保安林の指定

長野県の場合は、水源かん養保安林、土砂流出防備保安林及び土砂崩壊防備保安林については農林水産大臣が指定します。その他の保安林については知事が指定します。 
保安林の指定に必要な要件には以下のようなものがあります。

  1.対象地が森林法上の森林であること

森林法上の森林とは、立木が集団的に生育しているもしくは生育する予定である問いと、その上に生育する立木そのものを指しています。

  1.受益対象が存在し対象の得る利益が公益であること

受益対象とは、保安林指定により何らかの利益を受ける人や物(道路、畑など)をいいます。公益とは、その受ける利益が私的でなく公的であることをいいます。

(2)保安林の解除
保安林は、災害を防いだり生活環境を守るなどの目的を達成するために、森林の状態のまま保全されることが必要です。このため保安林に指定されると、原則として解除はできません。
ただし、以下のような場合には解除が認められる場合があります。

 

○保安林の制限

(1)指定施業要件
保安林に指定されると、立木の伐採方法、立木の伐採限度及び植栽についての施業要件が指定されます。


  1.立木の伐採方法

・主伐の方法、標準伐期齢
主伐とは、立木を次の世代に更新させるための伐採を指し、禁伐(基本的に伐採が許されないもの)、択伐(単木的な伐採が許されるもの)、伐採種を定めない(一定範囲の樹木を一時的に全部又は大部分伐採する皆伐が許されるもの)の3つの方法からいずれかを定めます。
主伐が可能な林齢を定めます。長野県の場合スギ40年、ヒノキ45年、カラマツ40年などとなっています。

・間伐のできる箇所
間伐の必要な箇所について間伐の有無を定めます。


  1.立木の伐採の限度

1箇所あたりの皆伐限度面積
水源かん養、防風、防霧及び魚つき保安林については20ha以下、それ以外の保安林については10ha以下の範囲内で、皆伐できる適正な面積を定めます。

・択伐率、間伐率
択伐率は、基本的に材積率の30%を上限として定めます。ただし、伐採後に植栽する場合には40%を上限として定めます。
間伐率は、材積率の35%を上限として定めます。


  1.植栽

主伐後、植栽によらないと更新が困難な箇所について、植栽樹種・期間・方法を定め、植栽を義務付けます。
既に指定された保安林について、指定施業要件を変更しなければ保安林の指定目的を達成できないと認められた場合、又は指定施業要件を変更しても保安林の指定目的に支障を及ぼすことがないと認められた場合は、指定施業要件を変更することができます。

(2)立木の伐採
立木を伐採しようとする場合には、基本的に知事の許可が必要です。また、間伐の場合には、許可ではなく届出となります。

(3)土地の形質の変更等
以下に掲げるような行為をしようとする場合には、基本的に知事の許可が必要です。 
・立竹の伐採
・立木の損傷
・家畜の放牧
・下草、落葉若しくは落枝の採取
・土石若しくは樹根の採掘
・開墾その他の土地の形質を変更する行為

(4)監督処分
これまでに挙げた制限に従わなかったり違反した場合には、知事により中止命令、造林命令、復旧命令並びに植栽命令といった監督処分が行われる場合があります。

 

○保安林の優遇

(1)税制上の特例
固定資産税、不動産取得税及び特別土地保有税は非課税となります。
相続税、贈与税は伐採制限の種類に応じて評価額の3割から8割が控除されます。火入れの1団地における許可対象面積は、5ヘクタール以下です。

(2) 立木損失の補償、伐採資金の調達
一定の条件に該当する保安林については、立木資産の凍結に伴う損失補償や伐採制限に伴って必要とする資金を低利で借りることができます。

 

○造林補助

保安林における造林等については、造林、保育としての下刈り、除伐等で一般の山林より有利な補助を受けられる場合があります。

(1)治山事業
保安林内の森林が荒廃した場合、林分の過密化などにより保安林機能が発揮されていない場合あるいはその恐れがある場合で、保安林の指定目的を達成するために必要と認められた場合には、治山事業が実施されます。
治山事業の事業費は国と県が負担するため、保安林所有者の負担は生じません。ただし、事業実施後の森林施業について県と協定を結ぶことが必要となる場合があります。

(2)特定保安林
機能が低下している保安林について早急に森林の整備措置を講じ、所期の機能を確保するために特定保安林の指定が行われ、治山・林道・造林事業等を計画的に実施しています。 

 

○保安林に関するお問い合わせ

保安林についてご意見やご質問のある方、ご自分の山を保安林にすることに関心がある方は、県南信州地域振興局林務課(電話0265-53-0430)または役場生活環境課環境林務係(電話0265-33-5127)までお問い合わせください。

 

 

お問い合わせ

生活環境課 環境林務係
TEL:0265-33-5127
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